ドゥシチカ(dušička)all souls day
11月2日は、キリスト教の祝日。 全ての死者のために祈りを捧げる日、死者の日(万霊節)です。 万霊節に関連する伝統は深いルーツを持ちその起源は中世まで遡ると言われ、英語ではAll souls dayですが、チェコでは"dušička"(ドゥシチカ)と呼ばれます。 同じく魂という意味で、チェコ人にとっても特別な日です。 多くの人々が墓地に足を運び亡くなった家族や友人に思いを馳せキャンドルを灯します。 墓地は家族が愛する人達を静かに偲ぶ光に満ち溢れる場所に変わります。
1年の中で1番墓地を訪れる人が多い日がこのdušičkaで、次がクリスマス、イースターです。 毎週日曜日に教会へと足を運ぶ敬虔なクリスチャンは私の周りには少ないのですがこういった行事を大切にする方が多いように見えます。 これは、子供の頃からの習慣によるものだと思います。
10月に入るとスーパーや花屋の店先にdušičkaの飾りのリースや秋の定番であるクリザンテム(菊の花)やカルーナが並び、ハロウィンのかぼちゃのオレンジ色が目に鮮やかに映り、またやって来た秋をしみじみと感じます。
菊の花が好まれる理由は、花持ちがよく美しいだけではなく不滅と永遠の記憶のシンボルとされているからだそうです。
キャンドルの火は、故人が迷わず帰って来れるように又は魂が安らぎを見つける道を示す象徴として灯します。
日本のお盆みたいなものでしょうか。
日本のお盆と違う点は、この時期に限り墓地周辺に警察の見廻りがあることです。
なぜなら盗難が発生するからです。
日本では考えられませんよね?墓地で盗難?お盆に盗難?
10月初旬から11月2日のdušičkaにかけて墓地周辺の路上は車と人で混雑するため、特に高齢者向けに注意をテレビのニュースでも促します。
お財布などの貴重品はもちろんのこと、キャンドルやリース、花などの装飾品を盗む人もいるようです。
そして数キロメートル離れた墓地の前で転売すると言うとんでもない事もあるようです。
更に信じられないのが、リースやキャンドルを他所の墓地から取り出し、3メートル、5、10メートル離れた自分の墓の上にシラッと置くことがよくあるようです。
昨今の物価高に伴い、毎年キャンドルの値段もリースなどの飾り、花の値段も上昇していますが、それはないでしょう、、、と首を傾げながらニュースを見ています。
しかし毎年この時期、注意を呼びかけると言うことは被害に遭われる方がいらっしゃると言うことだと思います。
私たちも、よくお墓を訪れるのですが、日本と少し異なると感じる点は、日本の場合、月命日、祥月命日、一周忌などと亡くなった日に重きを置くことが多いと思いますが、こちらの方は亡くなった日よりも、誕生日にお墓へ訪れることが多いように感じます。 それは生きている時も亡くなってからも同じで、非常に誕生日を大切にします。 子供だけでなく、大人になってからも、ずっと誕生日会は続きます。 私はパーティーは開きませんが、必ず毎年お花とワインやチョコレートなどを持ってきてくれる友人がいます。 覚えててくれたの?といつも嬉しく思います。 これが習慣化しているのか、ここに姿は存在しなくても、いつまでもあなたが生まれた日、命を授かった日を忘れないと言うようにキャンドルを灯します。
ハロウィンほどの派手さはないですが、穏やかにより内面的な方法で故人を偲ぶのがチェコのdušičkaです。 そしておもしろいのが、10月31日のハロウィンから11月2日のdušičkaにかけて古いものから新しいものまでホラー映画が、夜な夜なエンドレスに放映されます。 冬時間に移行し夜更かしに拍車をかける日々を過ごしています。