【南ボヘミア特派員記事】チェコのクリスマスまでの過ごし方
気づくとあっと言う間に今年も終わりに近づき、もうじきクリスマスがやってきますね。
本来ならばチェコは今時期はクリスマスに向けての準備が進み、街はキラキラとしてワクワクするシーズンです。
そんなチェコは教会も多いのでキリスト教徒が多いと思われがちですが、実は無神論者が多い国なんです。しかしながら、長い歴史の中でキリスト教との関連もあることから、チェコでもクリスマスは重要な位置づけにあります。
クリスマスは人々が1年のうちで最も楽しみにしているイベントと言っても過言ではありません。そんなチェコのクリスマスは、チェコならではの伝統や習慣があります。
今回はそんなチェコのクリスマスまでの過ごし方について紹介していきます。
【チェコ語のクリスマス】
チェコではクリスマス・イヴにクリスマスを祝います。
チェコ語でクリスマスのことをVánoce(ヴァーノツェ)、クリスマス・イヴをŠtědrý den(シュチェドリー・デン)、また、クリスマス・イヴの夜のことをŠtědrý večer(シュチェドリー・ヴェチェル)と言います。
【アドベント期間】
近年日本でもよく聞くようになった「アドベント」。アドベントとは「キリストの到来」を意味します。11月30日に最も近い日曜日から12月24日のクリスマスイブまでの約4週間の期間を「アドベント期間」と呼びます。今年2020年は11月29日の日曜から開始となります。チェコではこの4週間をクリスマス前の準備期間として楽しみます。今年は残念ながらCovid-19の影響で様々なイベントがキャンセルになっていますが、
通常であればクリスマスマーケットが始まったりして、街がキラキラと輝く季節です。
<アドベントリース>
アドベント期間にはクリスマスのグッズがたくさん店頭に並びますが、アドベントリースもその1つ。リースなどに4本のキャンドルを立てて、日曜が来ると1本ずつキャンドルを灯していく習慣。
手作りでアレンジを楽しみながらリースを作る人も多くいます。
<アドベントカレンダー>
日本でも近年は人気が高まっているアドベントカレンダー。
クリスマスが来るまでのアドベント期間中に毎日窓を開けていくカレンダーです。
チェコではお菓子が入ったアドベントカレンダーが手軽で人気。
11月に入るとスーパーに様々な種類のアドベントカレンダーが並びます。
毎日1つずつ窓を開けていき、クリスマスまでのカウントダウンを楽しみます。
【聖ミクラーシュの日】
チェコらしいイベントともいえるのが「聖ミクラーシュの日」かと思います。
12月6日が聖ミクラーシュの日ですが、チェコでは前日の12月5日に祝います。
聖人ミクラーシュとは英語圏では「聖人ニコラス」のこと。そう、サンタクロースの由来になっている人のことです。
ただ、チェコの聖ミクラーシュは少し異なり、チェコ独特です。
12月5日に聖ミクラーシュが天使と悪魔を引き連れて歩きますが、聖ミクラーシュは子供たちに「一年間いい子に過ごしていたか?」を訪ねます。いい子にしていた子はお菓子をもらえますが、悪い子は悪魔から炭や腐ったジャガイモを渡されるというチェコ独特なイベントがあります。
大人から見ると怖くなくても、子供から見ると怖い悪魔。悪魔の姿が怖くて泣きだしてしまう子もいるほどです。日本の「なまはげ」にどこか似ている気がしますが、チェコならではのイベントです。
この日にチェコの街を歩いていたりすると聖ミクラーシュ、天使、悪魔のご一行に遭遇することもあります。
【クリスマスの焼き菓子作り】
チェコの家庭では12月に入ると(早い人だと11月末から)、クリスマスに向けて「vánoční cukroví(ヴァーノチニー・ツクロヴィー)」と呼ばれる焼き菓子、クッキー作りが始まります。
チェコではクリスマスにケーキを食べるのではなく、この焼き菓子、クッキーを食べます。その焼き菓子は1種類や2種類ではありません。種類は何種類もありトータルで何百個も焼き上げるので、まるでお店レベルです。家庭によって焼き菓子のレシピが異なっているのもチェコ流。
私もチェコに来てから義母に教わり毎年作っていますが、毎年クッキーの種類を少しずつ増やしています。この時期は小麦粉、バター、砂糖などの消費量が恐ろしくなります。でも、甘くておいしくてついつい手が伸びてしまいます。危険すぎる誘惑です。
12月のチェコの家庭では、生地をこねて寝かして、型をとって焼き上げて。。。の日々です。
沢山作ったクッキーはクリスマスまでは箱や缶などに入れて保管しておきます。
よく見かけるのが
・三日月形のヴァニルコヴェー・ロフリーチュキ(Vanilkové rohlíčky)
・形が様々で間にジャムが挟まったリネツケー・ツクロヴィー(Linecké cukroví)
・アイシングで絵が描かれたスパイスが入ったペルニーチュキ(Perníčky)
かと思います。この時期にチェコを旅行する場合はスーパーやベーカリー、カフェなどでも売っているのでぜひ味わってみるのがおすすめです。
手作りをたくさん作る家庭もあれば、忙しかったり作るのが大変だから市販品を買う人もいます。チェコのクリスマスの焼き菓子作りは、日本の正月のおせち料理作りとどこか似ている気がします。
日本もお正月に向けて忙しいシーズンがやってきますが、チェコのクリスマス前の準備は日本のお正月前とどこか似ている雰囲気があります。
今年はクリスマスマーケットなど中止になっている場所がほとんどのチェコですが、それでも楽しみなクリスマス。
私自身もクリスマスに向けての準備を着々と進めていこうと思います!