チェコの主食、じゃがいもの天敵

2017年06月12日

チェコ人の主食のじゃがいも。このじゃがいもの葉っぱをとにかく食べつくす天敵がチェコにはいます。その名も、「マンデリンキー」。

じゃがいもの実です。
じゃがいもの実です。

葉が食べられてしまっています。

この赤い虫が、じゃがいもの天敵です。

その名も、『マンデリンキー(mandelínky)』複数形になります。一匹だけで済むことはありえないので、複数形でしか聞いたことがありません。日本語名称は『コロラド葉虫』です。アメリカから来た外来種で、一次大戦中にはアメリカによる生物テロだと本気で思った人が出たそうです。幸いなことに日本には入ってきていません。
爆発的に増えてしまったのがナメクジです。スペインから輸入したサルビアについてきたと考えられているそうで、男性の手の指サイズのナメクジが大量に発生します。昨年はとくにひどく、ナメクジが夜行性のため、日中や夕方にマンデリンキー、夜間には頭にヘッドランプをつけてナメクジを1000匹以上駆除する羽目になりました。

絵本もあります。古本屋で7000円というすさまじい高値でした。
絵本もあります。古本屋で7000円というすさまじい高値でした。
手前が成虫です。
手前が成虫です。

動きは成虫も幼虫も非常に遅く、危険を感じると脚を閉じて地面に転げ落ちます。捕まえても固まったまま動きません。

写真上部に見える黄色いのが卵です。
写真上部に見える黄色いのが卵です。

地面すれすれのところにある葉っぱの裏に卵を産み付けることが多く、常に屈んで作業することになります。小さい子どもにチョコレートでもって手伝わせている家族を見かけましたが、気持ちがわかります。見逃したくなる地面すれすれの、自分から一番遠い側の一枚の裏に、狙ったかのように卵がある、というケースが多くて手が抜けません。4~5日で孵化するので、毎日廻っている分には卵の段階で発見しやすいです。
快晴で直射日光が強い時間帯にむしゃむしゃ食べるので、この時間帯にだけ成虫を狙い、日が落ちた時間帯に卵を探す、など対応を考えないと、家庭菜園レベルならよいのですが、畑になると絶望的になる労働です。

幼虫一匹でもじゃがいもの葉をむしゃむしゃ食べるため、孵化してしまうと全部の幼虫を取りきるのがとても困難です。孵化する前のこの卵の状態の内に取り切るのが最善策です。
共産主義時代は、この虫の被害が死活問題となるため、大学でも昼の間に休憩時間が取られ、このマンデリンキーの駆除に動員されたそうです。
大規模農業を行っているところは、農薬で駆除しています。自分で害虫を目にしているので、この個体を駆除できるだけの農薬となると正直不安があります。
使用する農薬をタイミングを決めて最小限にする、という形で栽培しているところで数か月分をまとめ買いし、それを地下倉庫に保存する形をとる家庭もあります。
手作業で無農薬で採れたじゃがいもはとてもおいしいです。良いレストランに行きますとまずじゃがいもの味からして違います。私がこれまで食べた中で一番印象に残っているのは、友人の結婚式で出てきた皮付きじゃがいも丸々一個です。じゃがバターの感じですが固さや味が今でも素晴らしかったと思い返します。
スーパーで売りに出ているじゃがいもは残念ながらあまりおいしくありません。プラハやブルノでしたら青空市で直接買えるので、そちらがおすすめです。有機(BIO)とつけると値段が大幅に上がるのはチェコも日本と同じです。
それがどれだけ信じられるか、というのも難しいところです。
チェコで旅行にいらして、よいレストランに入られたときはぜひじゃがいもをお試しになってみてください。