夜、チェコの博物館へ〜Muzejní noc (ムゼイニー ノッツ)〜
チェコ、ブルノでは、桜のような木々がピンク色の花を満開に咲かせて、春を祝福しているようです。
日本はそろそろゴールデンウィークが始まる頃でしょうか。
心地よい気温のこのくらいの時期から、少し肌寒くなる9月ごろまでの間Muzejní noc (ムゼイニー ノッツ、博物館の夜)という一夜限りのイベントが開催されます。場所は、チェコ全土の主要都市です。例えばプラハやオロモウツ、リベレツ等であります。
ちなみに今年2022年のブルノでは、5月21日から22日にかけてです。
このイベントに参加している博物館や美術館、歴史的な施設などは、夜の6時から深夜12時頃までの間、いつもは一般人は立ち入りができない場所を開放したり、ワークショップや限定のイベントを行います。そして私たちは、無料(チェコ人の大好きな魔法の言葉!)または、いつもより安い値段で入場することができます。
実は、毎年一回夏にあるイベントの一つで、ブルノでは2005年から始まりました。年々、参加している博物館や美術館の数は増えています。例えば、昨年の2021年には、新たにトゥーゲントハット邸が加わり、ブルノではニュースになりました。
Moravské zemské muzeum
Moravská galerie v Brně
Muzeum města Brna - Špilberk
Vila Tugendhat
Technické muzeum Brno
Krajský úřad Jihomoravského kraje
Česká národní banka Brno
Muzeum vlakové pošty
Nová radnice
などなど、今年は50箇所以上の参加が予定されています!博物館や美術館は同じ会社でも点々としているので、事前に何を見たいかを調べてから出かけることをお勧めします。
入場するためには、事前予約が必要な場所もあるみたいです。こうやってみると、役所や銀行も開放するみたいですね。ワクワクします。
この特別でお得なイベントは、無料で施設に入れるだけではなく、他にも良い点があります。それは、(ブルノだったら)チェスカーに臨時のバス停が作られて、普段は乗り換えをしないと行けない施設へ乗り換えなしで連れていってくれる点です。ブルノのチェスカーという場所は、待ち合わせによく使われるポイントです。
昨年のブルノでのこのイベント時には、バスがB,C,D,F,G,Hと区別されて、各々の方面によって分かれていました。中でも、ブルノからちょっと遠いところへ行く、C 線(Mohyla míru行き), H 線(Předklášteří行き)はチケットを買う必要があったみたいですが、それ以外は無料で何度でも使えました。
昨年このイベントにて、私がバスを使った中で一番遠かった施設は、Rajhrad(ライフラド、Muzeum Brněnska - Památník písemnictví na Moravě)行きでした。
Rajhrad という町はブルノから南に大体12kmあります。もしそのチェスカー(臨時のバス停ができたところ)から、通常のようにバスや電車を使おうとすると、まず3~4回は乗り換えて、大体一時間程かかります。しかし、この日は乗り換えが必要ないので、大体25分くらいで行くことができました。この便は途中、町で乗り降りする人のために何度か停まりましたが、暑い中乗り換えしなくてもいいのはありがたいなあと思いました。
ちなみに去年私が行ったのは、この三か所です。急がずゆっくり回り、かつ間に晩御飯も食べました。
• Rajhrad (ライフラド)
• Muzeum vlakové pošty (郵便車の博物館、ブルノ本駅にて)
• Zetor Gallery (ゼトル ギャラリー)
Rajhrad (ライフラド Muzeum Brněnska - Památník písemnictví na Moravě)
チェスカーからバスに乗り、バスに揺られて、ブルノから離れていきます。住宅街やバス一台がギリギリ通り抜けられる細い道、野原で追いかけっこしているウサギたちを見ながら、豊かな自然と夕日のコントラストを感じていると、厳かな雰囲気の大きな教会が見えてきました。
夕日のおかげもあって、輝くオレンジ色の屋根とクリーム色の古びた教会の壁がすごくきれいでした。バスは教会の建物の入り口付近で降ろしてくれました。
ここは、1045年にベネディクト会の伝統に従ってモラビアで最初に設立された修道院で、1813年から独立した修道院になったそうです。そして、遺伝法則を発見したメンデルが司祭を務めた修道院 (Starobrněnský klášter) よりも古い歴史を持っています。
今日の建物の外観は18世紀のもので、聖ペテロとパウロの教会とその他複合施設全体は、チェコの文化遺産、文化財として保護されています。
なかでも、修道院の中にある図書館は、こじんまりとして、歴史も感じられて素敵でした。私は、そこにずっと行ってみたかったので、満足でした。臨時のバスが教会に到着する時間とうまくプログラムが合わせられていて、待たずにすぐにガイドの案内が始まりました。
その後は、臨時バスに乗り、ブルノの町方面へ。ブルノ本駅の後ろにあるショッピングセンターの近くでバスを降り、軽く晩御飯を挟みました。
Muzeum vlakové pošty (郵便車の博物館)
次は二両編成の郵便車を見に行きました。
こちらは、イベントの時にだけ現われる、幻の小さな小さな博物館です。と言うのも、郵便車の中に入って、その二両編成の狭い空間をぐるりと回ります。車中には、歴史の書かれたパネルと当時のもののインテリアや古びたスーツケース、手紙などが置いてあります。電車の中で、ここでこうやって仕事をしていた人がいたんだなあと思うと、感慨深くなりました。
Zetor Gallery (ゼトル ギャラリー)
間に合うかな、間に合わないかな...なんて思いながら、チェスカーに戻り、Zetor Galleryへ。こちらも普段行こうとすると、なかなか少しめんどくさい行き方をしなければなりません。
大人は40コルナかかりました。(普段は80コルナです。)入口で疲れ果てたバイトであろう女の子が印象的でした。おそらくイベント開始と同時に沢山の子供が来たんだろうなと思いました。
この日のZetor Galleryでは子供は無料だったので、それはそれは沢山来たのでしょう。
建物は二階建てになっています。中の展示は、ザリガニみたいな赤くてキラキラしたトラクターや、私でも運転できそうなサイズのかわいいトラクターなどバリエーション豊かです。とにかく、いまだ人生でこんなに沢山のトラクターを一度に見たことないよ!くらい、飾られています。子ども向けといっても、大人も退屈させない作りになっていると思いました。日本語で『ゼトル』と検索すると、日本語でも情報が出てくるので、知っている人は知っている会社なんだと思います。
Muzejní noc (ムゼイニー ノッツ)、チェコのミュージアムナイトのサイトです:
ムゼイニー ノッツに参加する博物館などの紹介ページ:
夜の博物館に入れることはなかなかないですし、その日限り一般開放する施設も多いので、面白いイベントだと思います。
チェコにいる皆さんは是非参加してみてください。