チェコのクリスマスの過ごし方は?チェコに伝わる東方の三博士のお話

2022年01月05日

あけましておめでとうございます。今年も、皆様に、もっとチェコを好きになっていただけますよう、存分に魅力をお伝えするとともに、チェコっと面白い情報をお届けできたらいいなと思っています。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
チェコビール、モラビアワイン、スリヴォヴィツェ...をたくさん飲んで、昨年よりも酔い(良い)年にしましょうね!

さて、今日は「東方の三博士 Tři králové(トゥシ クラーロヴェー)」についてお話します。

日本では、あまりなじみのない方々ですが、新約聖書に登場します。イエスの誕生を祝うために、光輝く星の方角に向かって歩いて、馬小屋を来訪したとされます。チェコ人のほとんどは無宗教なのですが、このイベントのおかげで?チェコ人たちは、クリスマスモードからお正月モードを通常モードへと、日常を戻していきます。

クリスマスツリーを片づけたり(なかには二月ごろまでもつクリスマスツリーもあるのだとか...)、学生も大きなテスト期間へと現実に戻されていきます。日本的にわかりやすく、ちょっと無理やり当てはめて言うと、七草がゆを食べている時の気持ちと、似ているような、似ていないような...。

イベントでは、子供たちや若者が「東方の三博士」に扮して、一軒一軒まわります。歌を歌って、お金を頂いて(募金)、その家の玄関の入口ドアの上に「K+M+B その年」と白いチョークで記して、次のお家へ行きます。「東方の三博士」では、この「チョークで玄関に記す」工程があるというのが、他のイベントとの差かと思います。

意外と一年ちゃんと残っているお家や役所も見かけます。そういえば、昨年の「K+M+B 2021」を見かけないなあと思っていたら、コロナで自粛期間だったのでオンラインで行っていたようです。プラハやブルノの街中ではあまり見かけることがないと感じます。ちょっと中心を離れたところや田舎の町では見られる確率が高いです。

今年は「K+M+B 2022」となります。

それでは、 K、 M、 Bはそれぞれ誰なのか、見ていきましょう。
K:カスパール、チェコ語でKašparカシュパル (没薬。将来の受難である死の象徴、老人の姿の賢者)

M:メルキオール、チェコ語でMelicharメリハル(黄金。王権の象徴、青年の姿の賢者)

B:バルタザール、チェコ語でBaltazarバルタザル(乳香。神性の象徴、壮年の姿の賢者)

ということらしいです...。
みなさん、ここまで実は私は嘘を教えてしまっていたので、3つ正しい情報を加えてお伝えいたします。
1.「K+M+B 2022」

こちら、三人の間に入っている「+」プラス記号。実は「+」ではないとのことです。え、じゃあなに?チェコ人が聖人たちにやらかしている失礼って?そう、ここに入るのは、「✞」クロス記号。うわー、チェコ人っぽい間違え方!ですので、今年こちらを「K+M+B 2022」お見かけすることになるあなた、鼻高々と笑っていいです。本来は、こうなるはずなのですから!

「K✞M✞B✞ 2022」

2.「K+M+B 2022」

こちら、実は聖人の頭文字の名前からとっているのではないそう。実はChristus mansionem benedicat、すなわち、「キリストよ、この家を祝福したまえ」という意味だそうです。え?

3.「K+M+B 2022」

いいですか、そうしたらチェコ人に確認してみてください。この頭文字はなんなの?っと。

大体のチェコ人は、高らかに、そして注意深く、こう説明するでしょう...。

K:クリーチェ (Klíče)、日本語で カギ

M:モビル (Mobil)、日本語で 携帯電話

B:ブリーレ (Brýle)、日本語で 眼鏡

これで当分、チェコ人、そして皆さんも、忘れ物なく日常生活に戻っていくことができますね。めでたしめでたし。...え?

チェコではこの日特別何かを食べることはないのですが、フランスではガレット・デ・ロワ(Galette des rois、王様の菓子)を家族と食べるみたいです。この王様のことが、東方の三博士のことだそうです。ガレットの中には、中にフェーヴ(fève、ソラマメの意)と呼ばれる陶製の小さな人形が一つ入っています。
それが当たった人は、王冠を被り、祝福を受け、幸運が1年間継続するといわれています。切り分ける時、食べている時、このフェーヴに気をつけながら、みんな黙々と食べていきます。伝統的には、家族が集まった中で一番小さい子供をテーブルの近くに呼び、目隠しをさせて大人の誰かが切り分け、この子供に誰に配るかを指名させると聞きました。

ガレット・デ・ロワは、フランジパーヌ(カスタードクリームとアーモンドクリーム)が入ったパイというと想像しやすいでしょうか?お店や地域によって味が多少異なるようですが、ガレットであること、フェーヴが入っていること、王冠を被ることは同じようです。

せっかくヨーロッパにいるということで、色々なことを体験したい方やお子さんがいる家庭では盛り上がること間違いなしですね。チェコの子供たちと家を回ることはかなりハードルが高いですが、こんな文化があるのかとこの日をフランスのお菓子で祝うのもいいと思います。

一人用も売っています。一人用にはフェーヴは入っていませんが、抹茶味やチョコレート味もあって、しっかりボリュームもあります。大きいガレット・デ・ロワを買うと、一緒に紙の王冠もついてきます。

Třikrálový koláč(トゥシクラーロヴィー コラーチ)という名前で売っています。昨年この広告を見て行ってみたかったのですが、確か自粛期間で外に行ける雰囲気ではなかったのでした...。