園芸好きが多いチェコ

2021年04月30日

チェコにきて私が驚いたことの1つが、チェコ人たちの園芸、ガーデニングにかける情熱っぷり。
園芸はチェコの文化の1つと言っても過言ではないと個人的には思っています。
そのくらい、チェコ人の園芸にかける情熱がすごいのです。
春がやってくるとホームセンターだけでなくスーパーには花や野菜の種、土、ガーデニンググッズがぎっしりと並び、チェコの家の窓枠や庭には美しい花が咲いている光景をよく見かけます。
また、街の至るところで手入れが行き届いた花壇や、街頭に吊るされた花などを楽しむことができます。
ここ数年、日本でも家庭菜園が人気のようですが、
今回は園芸好きなチェコについてご紹介していきます。

<園芸家の一年>

チェコの著名な作家に「カレル・チャペック」という人がいます。
彼はこよなく園芸を愛したと言われており、園芸についての作品「園芸家の一年」も残しており日本語でも本が出版されているので、もしかしたらご存知の方もいらっしゃるかもしれませんね。カレル・チャペックの実の兄であるヨゼフ・チャペックがイラストを描いていますが、内容はタイトルにあるように園芸について。
皮肉とユーモアたっぷりの本で、園芸家なら「それ、あるある!」と、ついついうなずいてしまう内容が書かれています。我が家にはチェコ語版があり、家族の前でチェコ語の練習を兼ねて音読していた時期があったのですが(私は音読練習はするものの、チェコ語での意味はよく分かっていなかったりしますが)原書は1929年に発行とのことで、チェコ人の夫さえ知らないという昔のチェコ語が出てきたりしました。その時は義祖父がいたので、義祖父に聞いたら義祖父はその単語を知っており、夫に意味を教えていましたが今ではあまり使われることがないチェコ語もあるんだなあと、本を音読しながら感じたことがあります。(しつこいようですが意味は分かっていないです)

また、先ほども書きましたが皮肉とユーモアたっぷりなのが、何ともチェコ人らしいなと感じます。もしまだ読んだことがないという方はぜひチェックしてみてくださいね。
ちなみにこのカレル・チャペックは「ロボット」という言葉を作り出した人でもあります。

<チェコ人の別荘>

チェコ人が園芸好きと言っても、園芸をするにはそれなりに庭などのスペースが必要ですが、もちろん誰しもが家に庭やバルコニーがあるわけではありません。
ただ、チェコでは「ハタ(Chata)」、「ハルーパ(Chalupa)」と呼ばれる別宅、別荘を持っている人が多くいます。社会主義時代があったチェコでは、ハタやハルーパという別荘を持ち週末などを家族で過ごす楽しみ方をしていた人が多かったそうで、現在でもその名残が残っています。
平日は庭やバルコニーがないアパートなどに暮らしていても、週末は別荘で庭仕事。なんていうのもチェコではよく聞く話です。
別荘、別宅と言っても、日本で想像するような素敵な別荘ばかりではなくコテージ、バンガローのような質素なものもあれば、普通に住んで生活できるレベルの建物もあります。その別荘の多くは郊外、田舎にあることが多く、そこの庭に畑を作ったり花を植えたり、木を植えたりするなどして園芸を楽しむ人が多くいます。
ハタやハルーパが密集しているエリアを散策すると、「植物園ですか?」というくらい綺麗に手入れをしている光景を見かけます。
とにかく庭にかける情熱がすごいのです。

<庭で野菜作り>

チェコの庭がある家では野菜を育てている光景もよく見かけます。
2月中旬を過ぎるとホームセンターやスーパーには種が並び始めますが、その豊富さに驚いてしまいます。私自身は自宅でトマト、サラダ菜、パプリカ、ハーブなどを育てていますが、近所にある身内の家の庭の畑が広いのでそこを借りて、毎年大体4月中旬にジャガイモや玉ねぎ、イチゴなどを植えて育てて収穫しています。
育てているものは家庭によって様々だと思いますが、私のチェコの身内や友人などの家の畑ではケドルブナ(日本でいうコールラビ)、キャベツ、トマト、ズッキーニ、ジャガイモ、玉ねぎ、カボチャ、ニンジ、パプリカ、イチゴ、ハーブ、エンドウ豆などを育てている家が多いと感じます。
野菜をスーパーやファーマーズマーケットで買うことももちろん可能ですがやはり自分で育てた野菜はより一層おいしく感じるものですね。

<庭に果物の木>

野菜に限らず庭にはリンゴやプラム、モモ、サクランボなどの果物の木を植えている家も多くあります。
日本の感覚では少し驚くと思いますが特にリンゴの木はよく見かけ、剪定などはしますが他はこれといって特別な手入れをしているわけではありません。日本ではリンゴの無農薬は難しいと言われているのを耳にしたことがありますが、チェコでは無農薬どころか、ほぼ放置です。それなのにとても豊作でおいしいリンゴができることに最初の頃は驚きました。庭でリンゴ狩りができるなんて、日本にいたころは思いもしなかったことです。
チェコの気候も適しているのでしょうね。 

街を歩いているとセンスよくデコレーションされた花の鉢植えなどもよく見かけます
チェコでは花の名前や木の名前などに詳しい人も多く、植物が身近にある生活だなとよく感じます。
おうち時間も増えている中、園芸を楽しむのもいいかもしれませんね。